研究の概要 その1
【記憶を良くする薬】
人間は年とともに記憶力が衰えていく傾向にあります。これは仕方のないことかもしれません。でも、記憶を良くする薬があったら・・・ 皆さんも一度は考えたことがあるのではない でしょうか?、記憶力が良くなることで、人生の中でより多くのことを覚えることができ、それをあらゆる局面で応用できれば、その人 の人生がさらに充実したものになるかもしれません。でも、忘れたいこともありますから、忘れ去るということもまた大切かもしれませんね。 最近のの脳科学では記憶に関する研究が進み、記憶を長く保持させたり、増強させる手がかりをつかんでいます。最近の研究から、私たちの 脳の中で海馬(かいば)と呼ばれる脳の部位が記憶・学習に深く関連す ることがわかっています。私たちの研究室では、この海馬で認められる 長期増強(Long-term potentiation, LTP)と呼ばれる現象とネズミを用いた学習実験を大きな軸として記憶力 を増強する薬の研究を行っています。さらに、記憶・学習に関する研究で、そのメカニズムが解明されれば、社会的に問題となっている アルツハイマー病などの痴呆を伴う疾患の病態解明や治療法の確立に対しての大きな糸口にもなります。このような成果を信じて私達の 研究室は日々、長期増強現象や学習の研究に励んでいます。
(赤字の部分をクリックしてみてください。詳しい説明が見られます。)
この薬理学ユニットでは、上記のLTPの実験や動物の学習行動の実験から、ある種の地衣類の成分が記憶学習を促進することや一部の市販 の栄養ドリンク剤 の中の生薬成分に、LTPを促進したり、ある種の障害で記憶学習能力が低下したマウスの記憶・学習を回復させることを見いだしています。